2012年1月19日木曜日

魔術士オーフェンはぐれ旅 原大陸開戦



秋田禎信氏のファンタジーシリーズ「魔術士オーフェンはぐれ旅」の新章第1作。
2003年に前シリーズが終了してから約8年。昨年末に刊行された「魔術士オーフェンはぐれ旅 キエサルヒマの終端」及び「魔術士オーフェンはぐれ旅 約束の地で」を経て、当時大人気だったシリーズの続編が新たに開始されることになった。
作中でも前シリーズから長い年月が経っており、主人公などが変更されている。ただ続きモノということだけあって、前シリーズの主要人物たちも登場している。
前シリーズ刊行中にリアルタイムで読んでいたので、この作品も迷うことなく手に取ることにした。
作品の雰囲気は以前と変わらずいわゆるライトノベル、いや、正確にはひと昔前のティーンズ小説と言った方が良いだろう。そして新シリーズでも、前シリーズを踏襲した構図になってゆくのではないかと思われる部分を読み取ることができた。今後の作品で、それが単なる類似なのか、それとも前シリーズと対比されるようになるのかが個人的には気になるところである。
ちなみに、新シリーズと並行して前シリーズが新装版として再版されている。形態は文庫からソフトカバーのノベルスサイズになり、2作品毎に1冊に収められている。
新シリーズを読む前に、また昔を懐かしんで再読してみたいという方々は下記を参照してみると良いかもしれない。
魔術士オーフェンはぐれ旅 新装版

2012年1月15日日曜日

すべてがFになる



森博嗣氏のデビュー作品であるミステリィ「S&Mシリーズ」の第1作。
作者は工学部の出身であり、作品にもその要素が取り入れられていたため、各方面からは"理系ミステリィ"というフレーズで宣伝される所以となった。
個人的な印象としては、ばりばりの推理小説というわけではなく、それ以外のエンターテイメントの要素も存分に含まれているので、犯人探しをしないような人が読んでも充分楽しめるのではないかと思う。同氏の作品は、そういった広い意味のミステリィが多いというイメージだ。
自分が同氏の作品に出会ったのは6年以上前のこと。この作品もこれまでに数回再読しているので、描写や会話の中から、本作だけではなくシリーズ全体を通しての数々の伏線を読み取ることができ、読んでいても未だに飽きることはない。
処女作でここまで書けるのは凄いことだが、実をいうと「すべてがFになる」は本来シリーズ第4作目に登場する予定だったというエピソードがあったりもする。
だがそれを差し引いたとしても、この作品を書いていた時点で、少なくともこの先十数冊までの大まかな構想ができていたと推測できるので、やはり森博嗣という作家には脱帽せざるを得ない。
最後に、余談ではあるが今年一年はこのシリーズを読んでいくことした。当然途中に別の作品も挟むと思うが、2012年のこのブログはS&Mシリーズが軸になってゆくだろう。